『Moon』の2巻が出てました

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 曽田正人といえばまずは『シャカリキ』ですな。これを読まずに曽田は語れまい。映画も公開になったし。ロケット点火!
それから『め組の大吾』もイイんだよね。火事のジャングルの只中で大吾と落合先生が抱き合うシーンはもうね。何度読み返したかわからん。
あと『capeta』。あれ? 一番好きな題材はF1でだからこそ描きたくないって言ってなかったっけ? 曽田のテーマは一貫して「孤独な天才」なんだけど、それでもまっすぐに成長していく勝平太はいいね。
でもオレは曽田作品ではどっちかといえば、『昴』のほうが惹かれるものがある。
 すばるは、脳腫瘍を患い闘病を続けていた双子の弟に毎日その日にあったことを踊って見せる。
記憶障害が進んでいて見ているかどうかすらも定かではない弟の和馬が、それでも毎日最後には笑う。否、"笑うまで"すばるは毎日踊り続ける。
そんなすばるがクラスメイトの真奈の母親のバレエ教室に見学へ行く。そこで筋がいいと褒められたすばるが、和馬の病室に来ていた母親へそのことを嬉しそうに話すと「和馬が可哀想だとは思わないの!?」と激しく叱られてしまう。
和馬につきっきりで自分には構ってもらえないばかりか自分のことを理解してもくれない母親に「プッツン」してしまい、つい「和馬なんかいなきゃいいんだっ!」と叫んでしまう。ふと気付くと和馬は意識のある目ですばるを見ていた。すばるは和馬が自分の言葉を「聞いた」ことを理解した。
その翌日、和馬の容態が急変。すばるは和馬になんとか謝りたいと願うが、どうすれば気持ちが伝わるかわからない。そんな時、真奈がバレエは跳んだり回ったりするだけじゃないと教えてくれる。すばるは真奈の助けでバレエ作品「ジゼル」のアルブレヒトの踊りを覚える。
そして、和馬の元へ行くが、既に和馬は帰らぬ人となっていた...。

 『昴』のプロローグにあたるエピソードです。
アルブレヒトの踊りを覚える時、すばるは和馬のためといいながらいつしかバレエそのものに夢中になっている自分に気付く。それがまた罪悪感を生む。
毎日病室で踊ることだって、いつ終わるか知れない無間地獄のようなものだ。
なんという絶望。
だが、どんな気難しい観客も和馬の無機質な視線には及ばない。
どんな罪悪感も「私ってなんて可哀想なの?」というすばるの自己陶酔の源となる。
なんという歪んだ天才。
すばるのバレエは観る者全てを飲み込んで圧倒する。

 『Moon』は『昴』が約5年の休載を経て再開された作品である。
海外を主な活動場所としていたすばるが日本での公演を行うことになった。すばるにとって、日本は心落ち着けるふるさとなどでは断じてない。
それまで蓋をしていた過去が、否応無くすばるを裸にしていく...。
是非読みましょう。

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このページは、マピロが2008年9月 5日 16:57に書いたブログ記事です。

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