今週の『へうげもの』

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『へうげもの』を大人買い

 今週はモーニング巻頭の『へうげもの』がすさまじかった。
いよいよ切腹を命じられた利休居士。
切腹の場である茶室に赴くにあたり白袴を着ようとしない。止めようとする警備の上杉家武士達を殴り飛ばす様相に騒然とする場。すわ乱心かと思いきや迷いのない眼と乱れない歩調でずんずんと進む利休。
いよいよ短刀を前に座したところ、介錯人として現れたのは古田織部。
驚愕の利休。覚悟の表情を見せる織部。
とここまでが前回の話。

 利休は出世欲にかられて介錯をかって出たかと織部をののしる。
織部は申し開きはしないと返すも利休は、まるで深い懊悩があったすえの決断かのように振舞っても詮無いこと、と一蹴。
床の間に腰掛けとっととこの首を持っていけと吐き捨てる。
怒る織部。
しかしそこではたと気付いた。
誰も望まない利休居士の切腹という沙汰。ならばそれに関わる人々を"利休が"もてなすことは、いくらかでもその罪悪感をぬぐうことではないか?
乱心したかのような狼藉、介錯人への愚弄、それら全ては自らへの憎しみを頂戴するという「もてなし」であったのだと。
一切の迷いなく茶の湯に殉じる豪傑。何たる茶鬼!
それに気付いた織部を慮ってか、利休は短刀を振り上げ、自らの腹へ向けてつきたてようとする。
が、床の間の壁に阻まれ叶わない。座る位置をずらし再び試みるも同じく失敗。
「しぇあ゛ら壁ぇ!」と壁に向かって怒鳴り散らす利休。
そのひょうげた様に織部はしたたか笑う。笑う。笑う。
そして利休は、それが本当のあなただお忘れなきよう、と慈悲の笑みを浮かべ織部を見つめる。
つと織部の目から涙があふれる。
利休に師事し、師を超えんと滑稽なまでに懸命な生を思い出す。それは共に数奇に命をかけた青春であった。
ついに短刀を突き立て腹を開く利休。そして「痛うございます。お早く」と介錯を促した。

 利休の首を持ち廊下に現れた織部に、控える上杉家の面々。暗雲から差し込む幾筋かの陽光。
荘厳とも言える場面が"4ページ"の見開きで描かれた。
鬼気迫るエピソードであることももちろんだが、マンガとしても他に類を見ない技法が出現した今週の『へうげもの』。
息をするのも忘れてしまった。そしてすぐに最初から読み返した。
すさまじいの一言です。拍手。

そんな感じです。

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このページは、マピロが2009年2月27日 12:42に書いたブログ記事です。

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