『バクマン。』を大人買い
『東京トイボックス』を大人買い
試練の始まりという趣の3巻でした。
シュージンとサイコーが王道バトル向きではないという服部、やってみせると意気込むふたり。
服部はふたりに押し切られて期限つきで挑戦してみることに。
一度はダメ出しされ、再度チャレンジした作品は服部の予想を上回るものではあったが、掲載には至らずショックを受けるふたり。
落ち込むふたりに審査員の評価を読ませると、前向きな厳しさを持った批評がされていることに感動する。
こいつらほんとに恵まれてる。
試練と挫折がものすごいハイペースで与えられていて、たいてい挫折はその苦い記憶を持ち続けて起爆燃料にするしか消化の方法はないんだけど、このふたりはその挫折が無駄じゃなかったことを具体的な形で見せられて復活できた。
それが作家として良いことかどうかは正直わからないけど、成長期には大きくプラスに働くだろうなあ。
新妻エイジと亜城木夢叶の邂逅。エイジは連載作家の仲間入り。
そしてアシスタントとして福田と中井が初登場!
福田は自信家で野心家。や、無理矢理そうあろうとしている感じもあるけどね。
中井はもういい歳でアシスタントとしての腕とその控えめな性格で雄二郎に便利に使われていそうな感じだ。思わず負けるな辞めるなと応援したくなる。
福田はそんな中井に辛らつな言葉を投げかけ続ける。曰く、中井の作画は凄いが連載作家としたら威張れる種類の技術じゃない、空いた時間に何もしていない。
福田はこう言いたかったはずだ。
「なぜベストを尽くさないのか!」
しかしこれはねー、むやみにこういうのを撒き散らしてもダメなんですよ。まあ福田はこの時は本当にイラっとしていただけなんだろう。
それをできる人間ができない人間に対して簡単に言ってはいけない。
マンガはほぼ個人創作活動だから言いっぱなしでも良いかもしれないけどね。恨みは買うだろうけど。
ゲームとかチーム単位だとね。逃げ場を作ってやらないと自分が天川太陽みたいになっちゃう。そうなれたらそれでもいいかなって気にはなるけどね。
まあでも中井はここで新妻エイジのアシスタントに選ばれたのがモチベーションの転機になるわけだけど。
福田は雑誌のあり方に意見を持っていてジャンプの変革について雄二郎にひとこと言うシーンは、バクロマンガというバクマンのもうひとつの顔が出てきた。
こういう議論はきっとマンガ家に言われるまでもなく編集部内ではされているのだと思うな。
オレはアンケート至上主義は雑誌として正解だと思う。
読み味が同じになってしまうとか長く続けることによる面白さが摘み取られてしまうとか、そういう批判は無尽蔵にされてきた。
しかしそういうデメリットもひっくるめて、最終的には作家の実力だとも思う。
そもそも統計として参考にできる数字が出るほどアンケートが回収できる雑誌は日本にどれだけあるんだ?
最近はジャンプだけなんじゃないかと思える。
福田はそういうステレオタイプの批判を雄二郎に向けている。作中でいちどは触れておかないといけないテーマだからだろう。
それに対して雄二郎はただあしらっているだけだが、実は福田自身が新妻エイジに向けて言ったことが反論になってしまってる。
つまり、ただ好きなものを書きたいだけなら同人誌をやっていればいい、ジャンプで連載しているんだから読者を楽しませることを第一に考えるべきだ、と。
未来の自分は絶対に面白いから今は我慢して読み続けてくれと頼んだって読者はついてこないでしょう。
オレだってずっとジャンプを読んでるわけで「なぜこれが打ち切り?! 許せん!!」と思ったことは何度もあるけど、因果関係が正しく整理された統計に個人の意見が勝ることは絶対に無いと言える。
順位が低かったマンガは大多数が読みたくないと思ったマンガなのだ。
アンケートはひとりよがりになっていないかどうか事前に知らせてくれる味方だととらえた方がいい。そしてそれができるのもジャンプならではなのだと思う。
しかしそれでもアンケート至上主義許しがたしと思うなら、アンケートそのものではなく順位の算出方法や打ち切り条件の考え方を批判すべきだ。
このニッチなジャンルの名作が打ち切られずに長期連載になるような因果情報をアンケートから吸い出せるなら、それは雑誌としても最強だし作家としても心強いだろう。
恐ろしく困難な道だろうけど。
ジャンプはそういうところを究極の目標にして欲しいという願いは、あるな。
そんな感じです。


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